「頑張れ!もう少しだ!!」
「ふ…ぅうっ!はぁ…はぁ!く…ぅう!!」
【未来予想図】(未来からの来訪者・番外編)
今まさに一つの命が生まれ様とする瞬間。
妊婦の周りには数人の看護士が懸命に励まし、彼女の側には父親へと立場になろう人物が必死に声を出す。
「頭が見えてきましたよ!あともう一息だから頑張って!!」
「うぅーーっ!苦し…!!も…ムリぃ!!」
「あと少しだ!頑張れ!もう直ぐ生まれるぞ!」
人生で一番の痛みであろう今の瞬間、妊婦は最後と言わんばかりに腹部への筋肉に力を込める。
すると産道から新たな生命が顔半分が外気に晒せばそのままスルリと全身の姿を看護士が受けとめた。
オ…オギャーオギャー
「よく頑張りましたね、男の子ですよ!おめでとうございます!」
「や…やった!やったぞ!よく頑張ったな!!」
「はぁ…はぁ…。生まれた…僕達の結晶が…」
疲労する身体よりも先にわが身に抱きしめる新たな生命、その小ささから彼女は嬉しさのあまり瞳から熱い滴を流す。
「頑張ったよ…僕頑張ったよ。生まれてきてくれてありがとう…っっ」
「よく…生んでくれた…ありがとうアレン…っ」
ガバッ!!?
「????」
あまりにリアルすぎる映像。
それは思ってもいない、ありえない夢。
「な…何でこんな夢を…妙にリアルで子供を…しかも俺の子供かよ。それよりも…何で俺の子を生んだのがモヤシなんだ?!!」
あまりにリアルな夢からその日神田はいつも以上に不機嫌だったのは言うまでも無い。
そしていつも以上にアレンが気になる事も…。
必然的に見せた誰かからの予知夢(メッセージ)なのかどうかそれは誰にもわからない…。
まるで未来予想図の断片を見せられたかの様に…。
end
●拍手小説に載せた神田番外話です。
果たしてこれは予知夢なのか只の夢なのかは皆様にお任せという事で。