「少年は『アレン・ウォーカー』か?」
【ノアの花嫁】
「正〜解でございまぁ〜す」
質問と同時に答えるリストカード。
その求める言葉に納得すればアレンの首元を掴む彼は、もう片方の開いた手によって自分の能力を
発揮する。
その能力によって破壊された少年のイノセンス。
少年はただあるべきだったその腕の先をただ呆然と見ていた。
「やめろぉぉぉーーーーー!」
言葉も虚しく、灰と化した自分のイノセンスはサラサラとその形さえ保てず消えていく。
「なんだハズレか、用件だけ済めば後は少年に用は無い。…良い夢を、少年」
蝶を模ったゴーレムをアレンの胸元へ近づけようとするティキ、しかし目の前の彼から妙な違和感を
感じその違和感のある場所へ直接手を触れる。
「…?!驚いたな…少年、否…少女だったのか…」
先程の戦いのよって、胸元を纏っていた伸縮の少ない布地がボロボロになり、固定する役目など
当に無くなっていたのだ。
戦闘には邪魔だと常に胸を潰していた彼女。
胸が平らなら少年と見間違えても仕方の無い外見だったが、それを分かってて彼女はその生活を
続けていた。
「…女と分かれば興味湧いたよ嬢さん」
ゴーレムを放せば、死を与えようとした目の前の少女を男は抱かかえる。
「…何を…?」
「千年公から聞いた時は別に気にも留めて無かったんだがな。
親をアクマにしたにも関わらず咎堕ちにならず呪いだけで済んだ…これまでも死に直面は何度も
経験したろうが君は生き抜いた。」
「?」
「君はこれを『特別』だとは思わなかっただろう?
イノセンス所持者だ…神に加護を受けていると勘違いしても可笑しくない」
男が何を話しているのかアレンにはよく分からない。
「男なら別に興味など無い。しかし女となればそれは別だ…。
嬢さん、君は『特別』な人間だ」
「…貴方の言ってる意味が分からない」
「前説が長すぎたかな…では単刀直入に言おう」
姫様抱きしている男と対面する少女。
真面目な顔で見つめられればその瞳は囚われる。
「アレン・ウォーカー、君は選ばれた人種だ。
つまりは『ノア』の一族になれる資質を持っている」
「!?」
「実の所、俺も元は君と同じ人間だ、『ノア』になれる素質が大きかったお陰様でこうして今がある。
資質ある人間など何百年・何千年に一人という希少だ…少ない一族の意味はこの理由もある。
だからもあるだろうがそれ以前に…」
ティキは語りを止めるや否や、目の前の少女へ口付けをする。
「な…!?何するんだ!!」
「俺は君を気に入った、アレン・ウォーカー…君を俺の花嫁にする」
「…!!?」
これ以上何も言葉が出なかった。
相手がいきなり自分を花嫁にするなど思いもしない台詞を吐くからだ。
「そうと決まれば俺等の城に連れていくだけだ」
拒否権など与えられる訳も無く、次第にアレンの意識はこの男が与えた能力によって消えていった…。
「愛してる…アレン」
end
●言い訳●
拍手礼文です。
また別物として書こうかと思っていたのですがこの文から続きモノとして行く事に決めましたので
新連載宜しくお願いしますv
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