「あれ〜ティキ誰お持ちかえりしてんの?」
「ようやく見つけた俺の伴侶さ」


自分の居場所なる所へ帰れば自分の家族がいるのも当然。
彼の抱かかえる白い少女を不思議そうに見つめる彼女はロード・キャメロット。


「所でロード、お前以前この子と接触した事あった筈だよな?
本当はアレンが女だと知ってたんだろ」
「あはは、知ってなかったらとっくに殺しちゃってたし」
「生かしておけば面白そうとでも思った訳か、ロードらしいな…。ま、お陰でこうして巡り合えた訳だし」


全ては『女』だったが故に命が救われた。
まるで『女』である事で今まで生きてこれたかの様に…
それは神の意思なのかノアの意思なのか。


「へー…やっぱコイツ『素質』持ってたんだぁ」
「そうゆう事。しかもイノセンスの持ち主ってのは神がこの『素質』を隠す為のカモフラージュだった訳だ。
神の愛した少女が故に…」


片羽をもがれた鳥はそんな事実など知る筈が無かった。
未だ伏せられる瞼、ぐったりと彼の腕の中で意識を閉ざす。
ティキはロードに身体の清めと衣服の交換を頼めばロードはまるで新しい玩具を与えられた如く喜んで引き受けた。
ティキは帽子を外し上着を脱げば、目の前にあるソファへ足を組みながら一服する。
心なしかその表情は嬉しそうにも。

(神に守られた彼女は『清らか』なままの筈だ。それを俺の手で『洗礼』出来るかと思うと…楽しみだ)

クククと笑いが零れるが実の所全てが思いの通りとは限らない。

(あと残る問題は…公爵だけか)

この一族の中で彼女と一番に接触した男・千年伯爵。
その接触による事件で公爵は彼女をあまり快く思っていない。
しかし今までの事を全て神の意思だと告げれば納得も考えられるが何せ人生の中で自分の力作と計画を壊した
唯一の少女だ、公爵は例え神の意思を理由だとしてもアレン自身の行動には目が余ると簡単には一族としての
許可を許してくれないだろう。
一方のアレンも自分の義父をアクマにした男を未だ許せる筈が無かろう、二人の蟠りが今一番の問題となる。

(記憶を弄っても良いが…出来れば自らの意思でその過去を切り捨てて公爵に媚びるくらいの気持ちで気に
入られてもらえれば俺的喜ばしいんだがな)

親しげそうな風貌で以外に頑固な公爵。
彼を納得させる為には彼女自身の改善と、自分の家族に当たるロード以外の一族達に彼女を受容れてもらう事。

(少々時間かかりそうだが…、まずは彼女をこの環境に刷り込ませる事からか)

彼は自分の計画を練りこみその準備に取り掛かろうと嬉しそうに笑いが止まらないでいた。









「なかなか…、白い髪にクラシックブルーのドレスが良く似合ってる」
「確かに似合うけどアレンには赤の方が似合うんじゃないの?」


まるで鮮血の様に真っ赤な…と少々残念そうな少女。
ゴシック的な白黒の服装ばかりの一族だが彼女自身所属していたこれまでの場所でも同じ事。
赤のドレスは最初に思った事だが赤はどうにも『汚れ』を思わせてならない。
彼女は未だ身も心も純粋。
そんな彼女をイメージするカラーはロシアンブルーの猫を思わせるベロア地の少しくすみがかけられた淡いブルー。
一度着せればまごう事か聖女と言っても過言では無い。
意識の無い彼女が見せる白い睫毛がまるで白い産毛の羽の様で触れたくなる。


「思っていた以上だ」
「…ティキが本気になるなんて初めてじゃない?」
「かもな。それだけ彼女は神に愛されてる訳だ」


ノアでも愛したくなる程の。
彼女を抱き上げ用意された天付のベッドへと移動させ、似つかわしくも銀色に光を帯びた手枷を彼女の白い
手首へと固定させる。
その瞬間悲しみに満ちる男の瞳。


「故意なのが悲しいの?」
「まぁ、彼女が環境に慣れるまでの辛抱さ」


そして鍵を閉め彼女一人残す部屋。
ティキとロードは早速と言うのか他家族とも兄弟とも言える一族の元へと足を歩ませるのであった…。












●言い訳●
長期間停滞してましてすみませんでした;
ティキアレ続きはまた近々にv







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