拍手連載小説
【LOVE ユウ Only】
●第一話●






「格好良いなぁ…」



彼女が影から見る先は弓道部を所属する男子生徒の群れ。

その中でも一際目立つ黒い髪の男子。

彼女ことアレン・ウォーカーにとって、その黒髪の君は憧れ尚且つ自分の幼馴染でもあるが

ただ一つ問題があった。

小さい頃は毎日の様に遊んでいた筈なのに二学年上の彼、神田ユウは彼女より早く学校

という組織に進学した事がきっかけなのか突然彼女から離れていってしまう。

それでも小学年の頃はまだ時折話をしたりもした。

しかし新たな友人も出来るのだからそうそうあまり会えないのは致し方無いと思う。

だが突然それは起きた。

中学へ進学したばかりの彼に祝いの言葉でもかけようと自宅へ向かった彼女に放たれた言葉。



「正直ウザいんだよ!ただの幼馴染なのに彼女ヅラされて迷惑だ」



優しかった彼とは思えない酷い言葉。

元々無愛想で言葉使いも良い方では無かったもののここまで突き放す言い方はこれまでの彼

とは思えない程の豹変ぶり。



「そ…そんな風に僕は思ってないよ…ただユウが進学したから『おめでとう』って一言言いたかった

だけで…」

「それがウザいんだっつーの、今まではお前のお守りで付き合ってやったがもうウンザリだ。

もうここには来るんじゃねーよ!」











「きっと彼に迷惑な行為してたんだろうな…」



それからの5年は話もしなければ顔も合わせた事も無い。

こうした年月は彼女を大人への階段を踏み、今では全体が丸く帯びすっかり女性らしく成長を

遂げたアレン。

昔は少年ともよく間違えられていた彼女もサラっと長い髪をなびかせ今では誰も彼女を魅力的に

思うであろう。

今でも昔と変わらないのは神田を想う彼女の心。

憧れでありそして気付いた淡い恋心。

突き放されても変わらないこの想いに彼女はそれが友情以上のものだと気付かされた。

叶わないのならせめて彼の姿を見れるだけで良いと友人のリナリーから得た情報で彼が通う高等

学校へと進学を希望する。

以外にも偏差値が高いこの学校にアレンは必死に勉強に取り組めばその努力が報われたのか念

願の彼と同じ学校に通う事が叶う。

久々に会えた神田はすっかり大人の顔付きとなり、現在は弓道部のキャプテンを務めているらしい。

だが声はかけない、未だに縛り付ける過去の言葉がそれを許さない。

彼を追いかける様に入った事自体を更に嫌うかもしれない、ならば偶然を装いもし彼と対面する事

があればまるで初めて顔を合わせる素振りを見せれば良い。

悲しいがそれが現実。










「なぁなぁユウ〜今年めっさ可愛い一年の女子に話題なの知ってるか?」

「あぁ、コムイ野郎(教師)の妹だろう」

「そうそう彼女も話題の一人だけどもう一人がもっと話題なんだぜ」

「そんな奴いたか…?」

「マジで知らんの?!今じゃ『白い妖精』なんて男共が呼んでるくらい有名だぞ!」

「へぇ…」



女好きで有名なラビと放っておいても女が近寄る神田は3学年でも有名な二人。

二人の回りには一目見ようと集る女生徒達。



「じ・つ・は、そんな『白い妖精』の彼女の写真をゲットしましたーvv」

「お前も暇だな…」

「俺が撮ったんじゃなくて売られてたの!」



ピラピラと向けられる写真を神田は大して興味持たない。

しかしラビの一言でそれは一変とする。



「ん〜ホント可愛いなぁ〜vvアレンちゃん」

「…アレン!?」



ガタっと勢い良く立ち上がりラビの持つ写真を横取りすればその映し出されている彼女を見て驚愕し

てしまう。



「うわっ何だよユウ!見たかったら素直に言えよー」

「な…んでコイツが…」

「あれ?もしかして知り合い…??」



成長を遂げているものの間違い無く幼馴染であった彼女。

滅多に表情を崩さない神田の見開く顔。

神田が彼女の存在を知った瞬間であった…。



















何だか話が長引いてしまいそうなので急遽連載の拍手小説とさせて頂きました。
こちらの話は昨年に神アレで学園モノを見てみたいというお言葉を戴いたのですが昨年中には載せ
る事が出来なかったので新年一番に書かせてもらう事にしましたv
タイトルありがちすぎて笑えますね…(苦笑)

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