この話は元本館10000を踏んで下さった朔様リク、
【眠レナイ夜ニ眠ラナイ夢ヲ】の続編で師弟の話という事なので書かせて頂こうと思いますｖ
前回の話をお読みになってない方は多少わからない内容も含まれる場合もありますので出来れば一通りでも見て頂きたい所です。
内容はシリアス調だと思われます。
クロスは格好良い大人だなぁと思う様な話にしようかと。
では本編へどうぞ。

二重生活

師匠が帰ってきた。

僕は堪らず師匠に抱きつく。
師匠は子供の様な行動の僕に優しく頭を撫で僕にしか見せない小さい笑みを見せてくれる。
久しく逢えた恋人に湧き上がる歓喜がやはりこの人が好きなのだと僕は再度確認してしまう。
その夜もお互いを確認する様に身体を重ね、満たされなかった心を埋めると言うのか何度も一晩中クロスに身体を求めた。
しかしそれでも瞬間浮かぶもう一人の男性、それは師匠への罪悪感からなのかそれとも別の想いからなのか…。

そんな一瞬の隙をクロスは見逃すはずも無かった。

しかしだからと言って聞き出す訳でも無い。
身体の飢えを渇望する幼い年頃、それに手を差し伸べる男がいたとしても可笑しくない環境。
全ては解っていた事。
まだ自分と違って若い恋人はこれまで自分以外の男とは面識が少なかった。
そんなこれからの人生が長い彼女の可能性を縛りつけてしまうのはどうだろうかとクロスにしてはらしくない考えをしていた。
それが教団へめったに帰らない理由でもあった。
それでも自分への歓喜に抱きつく彼女の心は未だ自分を想っているのだと解ればこれ以上放置する理由も無くなる。
しかし夜の合間に見せた一瞬の顔、それは別の男がいるのだと瞬時に悟った。
それを知ったとしても責めるつもりはない。
自分がそうした思惑が原因なのだから…。
まだ彼女にはこれからの時間が十分あるのだから縛り付ける事はせずに自分は自分なりの愛し方をすれば良い。
後はこの恋人が選ぶだけ。

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昨夜、帰ってきた師匠と身体を重ねたばかりなのに次の夜ではさっそく別の男性と身体を重ねていた。
本当は師匠が帰ってきた事でもう一人の身体の関係者ラビには身体の関係を断わるつもりだった。
だけど今まで寂しさを埋めてきてくれた彼を今更断る事も出来ない。
初めて関係した時からラビは次第に僕が求めなくても積極的に身体の繋がりを要求してきた。
そんな僕も人の温もりが嫌では無かったのでその要求を受け入れていたのだがそれが悪かったのかもしれない。
ラビは好きだ。
師匠とはまた違う感情を持っている。
ラビもただ隙間を埋めてくれるだけで抱いてる訳では無いと気持ちを解っていた。
そんな僕もラビとは離れたく無い気持ちがあったから断われず、元々流されやすい性格ではあったがこんな二人の
男性との関係をいつかはどちらかピリオド打たねばならない。
本当の気持ちはどっち？
僕は一体どちらが本当に好きなのだろうか…。

僕はそんな愛する二人に罪悪感を持ちながらも身体を重ねる二重生活を送り続けていた。