「リナリーどうしたんだい?」
「兄さんアレン君診てもらえないかしら、どうもイノセンスが原因で大変な事態が起きたの!」
「大変な事態?」


ひとまず混乱させない為かリナリーは人がいない場所へとお願いをし、3人はコムイプライベートの研究室へ移動する。









「…と言う訳でして、朝起きたらこんな事態に」
「ふんふん、興味深い話だね。大丈夫いきなり手術なんて事はしないから(笑)」


その言葉に安心したのか青い顔で覗っていたアレンから安堵の溜息が出る。
コムイもアレンがイノセンス治療のトラウマがあるのは分かっていたので緊張から彼がコムイの顔を青くして覗っている
姿はどんな思考なのかすぐ理解できた。
なので事の詳細を聞き出そうとアレンが言葉せずとも安心してもらえる言葉をかける。


「良かった〜いきなり腹開かれたらどうしようかと…」
「イノセンスに関しては科学班の仕事だけどいくら僕が医師免許持ってたとしても人体的手術に関しては流石に
ちゃんと医療班に任せてるから安心して良いよ」


アレンにしてみれば、男⇒女=解剖(手術)というイメージを持っていたのでコムイから逃げたくなる気持ちも
わからなくはない。


「だけどちょっと調べてみたいからリナリーは外してもらえるかな」
「うん、お願いね兄さん」


リナリーが部屋から出ていくのが分かるとコムイは専用の診察台へ座る様アレンに指定する。
そして身に着けている衣服に対しても…


「…え?!脱がないと…ダメですか?」
「さすがに衣服着けたまま調べるのは困難に近いよアレン君」
「…わかりました」


(これも男の身体に戻る為だと思えば…!)

意を決し身に纏う全てを脱ぎ払い、生まれたままの姿へ。
しかし元が男だったとは言え、今は異性の身体。
羞恥心に顔が熱くなるのは致し方無い事だろう…。
だがそんな恥じらうアレンとは反対に上から下まで眺めるコムイは至って真面目な冷静ぶりに覗えた。

(コムイさんは真剣に調べてくれてるのに何一人で恥ずかしがってるんだろう…僕馬鹿だ)

しかし隅々まで眺められるのはそれでも恥ずかしいもので、アレンの目線の先は定まっておらず右左動かす事で
紛らわすしか今は出来ない。


「…見た限りではどうにも解らないね、ちょっと直触に入るから仰向けに寝てもらっていいかな?」
「え…は、はい…」


直触…つまりは身体に触って調べると言う事だ。
まるでまな板の上の鯉状態と言わんばかりに寝台のアレンは緊張から硬直と化している。
その姿にコムイはクスリと小さな笑いをこぼす。
そして女性となったアレンの首筋から手を這わせるとそのちょっとした感触にアレンはビクっと大きく震え、スス…と
移動するこそばゆさにギュっと目元を強く瞑り出した。
まるでその皮膚を堪能するかの様にも思える触れ方なのだがあくまでもこれは『診察』。
素直な心とは裏腹に目の前の男の本心はとんでもなく違う方向へと進み出していた。
胸元まで進むと今までには無かった女性特有の膨らみ。
壊れ物を大事に撫でる様な触り方がアレンの呼吸を瞬間止めに入る。


「…本当に女の子になっちゃったんだねぇ、胸とか本当に大きくなっちゃったし」
「コ…コムイさん!真面目に診察して下さい!!」


今の時点で気付くべきだっただろうか。
診察と言い難い堪能する様な触れ方…否、今は既に揉み返していると言った方が正解だろう。


「あのねぇ、やり方は何にせよ僕なりの診察してるだけなんだけどなぁ…」
「あ…すみませ…ん」
「少しでも君を元の身体に戻してあげたいから、全てを僕に任せてみて。ね?」


『僕の為』

この一言を言われてしまえば誰でも心許してしまうに違いない。
僕もこの一言から安心しきってしまい全てを彼に託すのであった。

彼の思惑など知らずに…













●言い訳● 久々の更新ですが本番はまた次になります。 コムイさんが黒いなぁ…














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