「お前何を隠してる」
「何も隠してなんかいませんよ」
(怪しい…)
狭い浴槽でありながら距離を取ろうとするアレンは明らかに可笑しい。
目線も合わせようともせずただ体制を背中向きにしようと必死に動こうとする。
明らかに何かを隠そうとしてると確信した神田はアレンの側へ近づいた。
「やっ!?来ないで下さい!!」
「別に隠してないなら近づいたって構わねぇだろ?!」
(コイツ…何か身体を隠してるのか?)
すでに茹で上がってる状態、白い湯船に首まで浸かり、断固として自分から浴槽出ようとしない。
正に『身体を隠してます』と言っているものだ。
(まさか…風呂の中でマ●かきしてたんじゃねぇだろうな)
理由としては条件が当てはまる。
だがもしそうだとすれば日々鬱陶しいと思っていたこの新人の弱みを握れる事になる。
神田は嫌な笑みを浮かべながらアレンの身体を掴み力任せに持ち上げた。
「ひっ!?」
「お前の隠してるモノを見せろ…って、お…前…??!」
身体を持ち上げアレンの下半身を見るが考えていたものとは違っていた。
だが違っていたのはまるきり正反対の事で、アレンの下半身は男の象徴が無かった。
無かったという表現より『男』そのものでは無いという事であって、神田は驚きのあまりアレンの身体を持ち上げたまま固まってしまう。
「いやあぁぁぁーーーーーーー!!!」
上から下まで眺められ、羞恥にアレンは神田を突き放し再び湯船に潜り込む。
「お前…女だったのか!?」
「…」
(女の様に細くて白い肌だとは思っていたがまさか本当に女だったとは…)
しかし見てしまった。
アレンの身体はそこらの女よりも更に女らしく、ふっくら丸み帯びていた。
15歳とは思えない程魅惑な身体付きに神田は戸惑いを隠せない。
(年の割に胸あるなコイツ…)
性別が明らかになった瞬間、見る目が一変して変わる。
柔らかな身体に逆上せ紅く頬を染める色香を放つ顔、例えどんな男でも放って置く訳が無い。
それが神田であっても。
「…もう理由は判ったでしょ?!早く出ていって下さい!」
(まさか。こんな美味しい状況を逃す訳無ぇに決まってんだろ!)
「嫌だな、まだ俺は湯船浸かったばかりだぞ?お前が出ていかないのなら俺が出るまで付き合うんだな」
「う〜ずるいです!!」
どうせバレたのなら本当は出て行きたいアレンだがここには身体を隠せるタオルが無い。
しかし正体がバレたのだからもう首まで湯に浸かる必要は無い為、鎖骨が出るくらいまでは湯面から出す事が出来た。
一方神田は何かを思いついたのか純粋そうなアレンに色々聞きだそうとニヤける。
「まさか女だとはな、男ならてっきり風呂ん中で●スかいてんのかと思った」
「●ス?」
「何だお前知ら無ぇのかよ?」
人を小馬鹿する様な台詞にアレンは顔を歪める。
「…知りませんよ」
やっぱりなという顔をされて更にアレンは益々不愉快に、すると神田はアレンの耳元へ顔を近づけ呼吸の息を吹きかけながら小さく台詞を言う。
「『一人H』の事だよ」
「!!!??」
所謂男ならではの性的処理話。
アレンにも判る言い方に紅い顔が更に真っ赤になる。
「んだよ、一人でやった事も無ぇのかよ?」
「す、する訳無いでしょ!!!そそそそんな事!」
やはりからかうと面白いと思う神田。
アレンにとって色情事的行為は数週間前、エクソシスト本部に戻ってきた師匠によって初めての体験だった。
それをまだ初心者なアレンが考えもする訳も無い。
慌てるアレンに神田は面白がり、更に驚く事を言ってきた。
「俺が教えてやろうか?」
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