拾壱 素顔の君







「僕神田の事誤解してました。本当は…不器用なんですよね?」
「何だよ不器用ってのは…」
「人と接するのが不器用って事ですよ。だから皆に誤解されるんです」


本心が分かればこれまでの行動はその不器用な自分を表す態度。
きっと誰かと接する事が少なければ、自分から接しようともしない彼。
心優しいのに誤解ばかりが発展する。
アレンは神田がユアンと接してる場面を見た瞬時に理解したのだった。


「本当の貴方を知ったから…僕も自分の気持ちに気付いたんです。
まさか神田からも同じ気持ち持ってたなんてのは正直驚きましたけど」


いつまでも触れる手を神田はそっと握り返し、純粋に見つめる少女から目が離せないでいた。
一方のアレンも自分に対して意識する神田の瞳を不思議と吸い込まれる様に見つめる。
以前どこかの街で見た事ある黒曜石と酷似している澄んだ瞳。
流石の神田もいつまでも見つめられれば照れくささにふいっと背いてしまう。


「神田?」
「…んな目で見るなよ、また襲っちまうぞ?!」
「良いですよ」


間も無く放たれる言葉に話を振った本人が目を見開いてアレンに振り向く。


「もう迷いは無いです。今なら貴方に抱かれても…」


これ以上かける言葉は無い。
気付く淡い心はその言葉に大きく反応し、そして優しく微笑む女神に力強く抱きしめた。


「!?」


突然の行動にアレンは驚くものの、その初めて態度として表してくれた彼の行動に嬉しく、そして
抱きしめられる胸元は通常より早く打ちつける鼓動が触れている耳元から分かる程聞こえる。
それによって彼も彼女に対して緊張しているというのが見受けられ、そんなアレンもお返しと言わん
ばかりに腕を背中に回す。
しかしそんな状態も長くは続く訳では無く、次第に密着する身体が離れればアレンはクスリと笑い出した。


「神田って結構大胆なんですね。それに…すごく心臓大きくなってましたし」
「…お前だってそうだろ」
「ふふ…当たり前です。好きな男性に抱きしめられたら…ドキドキしちゃいますよ」


可愛らしい素直な彼女の言葉が男心をくすぐる。
接近する彼の顔はまさしく接吻(くちづけ)の合図。
アレンもそれに理解すればそっと瞼を落とし、彼への気持ちを受け読めようとする。


「ん…」


初めて触れる彼女の唇、初めて触れる彼の唇。
ただ触れるだけの軽い接吻でも心は大きく揺れ動く。
その唇に堪能してしまえば次第に欲望は大きくなるもの。
口づけの最中に舌先を神田がアレンの唇を舐めれば彼女も唇を薄く開き彼の侵入を許可する。
入り込む彼の身体の一部はとても熱く、口内へ動き回るその艶かしい動きに彼女は小さく反応を示していた。

絡まる舌と舌。

ただそれだけの行為が身体中を触れられている感覚に陥る。
次第に呼吸が困難となればあと呼吸出来る箇所は鼻のみ。
しかし荒くなる鼻から出る呼吸は相手の顔にぶつかり、呼吸を荒げてる事が相手に伝わっている様で
恥ずかしく思ってしまう。
それでも上壁や舌の裏など伝う様に舐め上げられれば感じた事の無い痺れが身体の奥から電気の様に走る。
口内を貪るこの感覚は未熟ながらも『気持ち良い』と感じていた。
好きな異性から与えられるのだからその感覚は倍もの歓喜に溢れるのは当たり前。
次第に飲み込みきれない唾液が口に伝えばそれが合図の様に漸く彼の唇が離れていく。
互いの舌先に連なる銀の糸、互いの唾液に口内が十分潤っているのが分かる。
神田から伝うその糸が妙にイヤらしく、アレンの頬はほんのり紅く染まっていた。


「…良いのか?」


それは再度確認する合図。
いくら彼女が先程良いと言葉を出していても気遣ってしまう。
そんな優しさが嬉しく思い、アレンは「はい」と紅く蒸気する顔で小さく相手に伝えたのであった。























初めて触れる彼のベッド。
男性のわりにキチンとしわを寄せずに小奇麗にされているのは彼の性格上なのか。
しかしそれも神田らしいとそのシーツに手を触れ左右に撫でてみる。
いつも彼が寝ているベッドに今自分が座っているのだと何だか小さい喜びを感じた。
意識がソレに夢中になっていると上着を脱いだ神田はどうしたと質問するがアレンは小さい笑いを返すだけで
神田からは変な奴だと疑問な顔。
元々団服は自分の部屋へ置いてきたアレン、今身に付けている服装は軽くシャツと黒のシックなズボンのみ。
ブーツは脱ぎ捨て同じく団服の脱いだ神田にシーツへ埋め込まれる。
再びキスを送りながら身体に触れる掌。
白いシャツを撫で回せば彼女がシャツの下に何も着けていない事に気付く。


「お前…この下何も着けずにここまで来たのか?」
「はい…そうですけど」
「お前馬鹿か、誰かに見つかったら…っていうか無防備すぎだ!」
「誰もいないのを確認してから部屋出たから大丈夫ですよ、それに…何も着けてこなかったのは
神田に対して無防備でいたかったから…」
「…っ」


その言葉に赤くする神田。
そんな彼女の大胆な行動に理性がはち切れそうになる。


「お前は馬鹿すぎだ…っ」


詰まる喉から出す様に言葉を発せば再度濃厚なキスを送り、薄い布一枚に遮られる豊よかな胸を
優しく撫でる神田。
塞いだ唇から撫で回す手に合わせて甘い声が零れ落ちる。

二人は互いの甘い行為に没頭するのだった…。

















●言い訳●
お久しぶりの更新です、待たせてしまいましてすみません!!
久々書いたら大分甘ったるくなってしまいましたが…
まぁ予定には甘さを出す考えがあってもこれは甘すぎ?(汗)
次回はエロ予定です。
書けるかな…


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