「アレン普段は一人で寝てるっしょ?」
「うん…だけど大きいベッドに一人って思い出すから寂しくて…」
「思い出すって?」


アレンは自分の想い人がクロスだと言う事をラビに打ち明けるか迷っていた。
相手は元帥である上、年も10以上離れてる為どう反応が返ってくるのかが返答が怖い。
そんな急に黙り込むアレンに対し、ラビの放った言葉は…、


「好きな男っしょ?しかも大分年上」
「…何で解ったの?」


アレンは気づいていなかった。


『元帥の護衛が任務だよ』


コムイの放った言葉に一番の反応を見せたのはアレン。
それはほんのわずかの反応だがラビは見逃さなかった。
感情が傾く程の人物、それはきっと師弟関係だけの間柄では無いと瞬時に見抜く。
だが本人には聞かなかった。否、聞けなかった。
初めて会った時から、神田から話だけは聞いてたが実際会ってみると白い髪に澄んだ青い瞳、陶器の様なきめ細かい白い肌は忘れられないという程強烈な印象を受けた。
その日から気になって仕方の無い存在。
だから、本人の口から想い人の正体を聞かずとも解っていた。


「アレンの事なら何となくわかる」
「ふふ、何それ?『何となく』って」


次第に二人の体温によって温まるベッドの中、心地好い温度にアレンの口から本音が零れる。


「あの人…僕の前から突然姿消しちゃって…、いつも側に居たからずっと会いたくて、すごく会いたくて…でも中々会えなくて…。そう思ってると次第に淋しくなるから一人は嫌なんです…」


俯くアレンの肩にラビは手を置き抱き寄せた。


「淋しいなら…俺が慰めてやろうか?例え代わりでもアレンの空いた淋しい心を埋めてやりたい」


見た目より以外に広い胸板、抱きしめられ優しい言葉にアレンの心が揺らぐ。
まるで兄の様で、だけど今は男の顔。
先程まで異性だと意識していなかったのに今ははっきりと異性として意識する。
だけどラビをあの人の代わりにするなど彼に酷な事なのではと迷いを隠せない。


「心配すんなってアレン、これは俺個人としてお前の支えになりたいと勝手な事言ってるだけなんだから、な?」


あの人は言葉にはしないがぶっきらぼうの中にも安らぎを感じる優しさ、ラビは守ってくれる兄の様な寛大な優しさ。


今だけこの淋しさを彼に埋めてもらっても良いでしょうか…?


僕は…


淋しさからラビの優しさに、言葉に甘えてしまう。


淋しさを埋める為の甘えは罪?


淋しさから押さえきれない僕の心は今ラビに傾けられる…。





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