師匠に触れられてすごく気持ち好い…。


修行してた頃、
師匠がいつも出かけると色んな美人な女性と歩いて楽しそうに話してるからそれを最初偶然見かけた時は師匠らしいと思ってたけど、
それが頻繁だと段々悲しくなって胸の奥が苦しくなった。
僕は師匠に恋してるとわかった瞬間涙が出た。
いつも女性といるのに僕には女扱いしない師匠が僕はとても悔しかった。
師匠にとって僕は『女』じゃ無いんだろうなと半分諦めていた時だった、


「本部では『女』で登録しろ」


今更何で?!
今まで男として扱ってきた貴方が何故今になってそう言うの?
僕はあまりに勝手な師匠に怒りを感じ反発する様『男』で登録した。
僕の気持ちを考えもせず…
フラっと姿を消したと思えばフラっと現れ、
突然女性と同じ様に身体を触れてきて…。


師匠にとって僕は一体何?


「…どうしたアレン?」


気がつけば涙を流していた。


「何故師匠は…僕にこんな事してくるんですか?」
「おいおい、今更言う台詞じゃないな」
「僕は…師匠が好きなんです。ずっと好きだったんです!今まで女扱いしなかった癖に何故本部に行かせた途端
そんな扱いしてくるんですか!?急に自分の玩具が恋しくなったとでも言うんですか!!?」


まるで子供の飽きた玩具。
人の手に渡ると急にまた欲しくなる。
僕の頭の中ではそんな言葉がずっと浮かぶ。


「馬鹿弟子!俺が公私くらい分けてきた事もわからなかったのか!?」


「?!」
「別にお前を男扱いしてきた訳じゃ無い、男女区別無く教えなければならない程この世界は甘くは無いんだぞ!エクソシストとは」
「あ…」


僕は何て馬鹿な事を思っていたのだろう。
師匠に言われて気づいた。
師匠は僕の事を思い接してくれてた事を…。


「それに付け足す様だが別にお前を玩具だとか暇潰しだとか思ってこんな事してる訳じゃない、お前が『エクソシスト』と
名乗れるまではとずっと我慢してきたんだぞ!この俺がここまで理性我慢保つなど人生で何回ある事か…」


師匠が我慢!?嘘でしょ??


「それじゃ師匠は…今まで僕を『女』として見てくれてたんですか…?」
「当たり前だろう、お前は女なのだから。だがお前を不安にしていたのなら俺の責任なのだろうな…」
「師匠…」


嬉しかった。
本当は自分を一番に考えてくれていた。


「おいおい、また泣くのか?」
「だって…すごく嬉しいんです、僕…師匠に失礼な事考えてたから…本当にごめんなさい!!」
「俺の事がわかっていないのなら教える事はまだまだあるな」
「でも…大事な事聞いてません」
「何だ?」
「師匠は僕をどう想ってるんですか…?」


ずっと大事な事を聞いて無かった。
師匠から聞かされた言葉に淡い期待を抱いて良いのだろうか?
まだ大事な言葉を聞かされて無い。
僕は貴方をずっと好きだったと言った。
なら貴方は…?


「ここまで好きに触られておいて言葉にしないと判らないのか?」
「だって…師匠は色んな女性と遊んでるって思ってたから…」
「この馬鹿弟子」
「馬鹿じゃありません!僕は師匠みたいな大人な考えが出来ないんですからちゃんと言葉で伝えて下さい!」


「…この馬鹿」と呟く様に言うとクロスはアレンを起こし、身体を抱きしめ耳元に唇を寄せた。


「アレン…一度しか言わないぞ?」
「…はい」
「愛してる」


嘗て義理父のマナにも言われた言葉。
家族愛とはまた異なる意味。
二度目の言葉にアレンの感情が高ぶる。


「…師匠、僕も…貴方を、愛してます」
「お前は泣き虫だな…」
「誰の所為ですか…ヒック…」


言葉などいらない。
…なんてよく聞くけど、やっぱり言葉は欲しいモノ。
僕と師匠は身体と共に心も繋がり創めた。






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