「ねぇ、お兄ちゃん。またニュース見てるの?私ヤダよこんな戦争の情報なんて」
「マユ、いくら平和主義のこのオーブでも世界の真実は見ておかなくちゃ駄目だよ」
「だって私達は戦争に巻き込まれたくなくて、同じ人間の殺し合いなんて見たくなくてオーブに移ったんじゃない!」
「…でもこんな生活本当の『平和』なんかじゃない」
「もう!お兄ちゃんはいつもそう言って家族の幸せに水差すんだから」


兄はいつもオーブにいる事を悔やんでいた。
『本当の平和』ではないからと。
オーブの中の住民は本当に外で戦争なんてしてると感じさせない程豊かで平和だ。
戦争なんて誰だって嫌だけれども、私達やオーブにいる住民は血を見たくないから、ナチュラルもコーディネーターも元は一つの
人間から生まれたとお互いの存在を認め合ってる人達がほとんどだ。
そんな人種を認め合うこの国を私は本当の平和で希望だと信じていた。
その内戦争している人達もそれに気づいてくれると…
だって戦争なんて傷を付けて、死と隣り合わせで、家族ともう暮らせないかもしれないのに自分達にとっても全然メリット無いじゃない!
だから私はオーブの考え方には賛成している方だ。


「どうせ私達の代で戦争なんて終える訳無いじゃない」
「そういう考え方がいつまでも戦争が終わらないんだよ」


あぁ、またこのパターン。
普段はとても仲良い兄妹も喧嘩が始まるとお互い頑固で…。


兄はいつも戦争を終わらせる為の事ばかり考えていた。
兄の性格は思った事を実現させないと気が済まないタイプ。
それが勉強やスポーツならすぐにでも実現されていた。
不可能もいつかは実現させるのではないかといつも皆に期待されていた。
でも戦争は1人が戦ったからと戦争がそんな簡単に終わるはず無い。
所詮兄のいつもの戯言…


そう思っていた。


私が兄と同じ考え方をするのがこんな皮肉な運命から生まれるだなんて…





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