崩壊したユニウスセブンが本来の軌道が変更し、地球に危機が向かっている。
原因は不明。
話を聞くと自然に何らかの理由で軌道が変わってしまったかもしくは誰かの手によってか…。
しかし地球がどうなろうか自分にはあまり危機を感じない。
おそらく地球はオーブとの繋がりが深いからそういう考えを起こさせているに違いない。
そんな話題の中、1人が地球の危機をどうでも良い様な発言をしたすぐ、憎きオーブの奴等が話題に割り込んできた。
もちろん自分はあまりに綺麗事ばかり言うお姫さんを侮辱する。
なのに乗り出してきたのは…
元、紅のエースであった『アスラン・ザラ』。


「くだらない理由で関係無い代表にまでつっかかるのならタダではおかないぞ!」


『くだらない』?!
あんた等の所為で失った家族を『くだらない』だって!?
何も知らない癖に『くだらない理由だと』?!


「…『くだらない』?!『くだらない』なんて言わせるか!」


自分はアスラン・ザラに家族を失った事をぶちまけた。
信じていたオーブに対する批判と共に…。
そして自分は悔しさで熱くなる目元を隠す様にその部屋から離れる。
『あの人』になりきるのなら涙なんて見せては駄目だ。
元々は感情豊かで涙もろい性格。
だけど『あの人』の為、今まで耐えてきた。
辛い訓練も技能も勉学も何もかも。
全てを会得して「あの人」になりきれば意志を同じ考えを以って共に貫けると。
だけど…思い出すあの『悲劇』。
全てを失ったと思ったすぐの『第二の悲劇』。
考えない様にといつも思っているのにフラッシュバックの様、頭から記憶を呼び覚ます。
途端、血が下がる感覚と震え、込み上げる嘔吐感だけはいつも堪えてきたが慣れる筈もなくその場壁を支えにしゃがみこんでしまう。


「思い出したく、無いのに…く…ぅっぅ」


きっと今の自分は最悪な顔をしてると思う。
真っ青な顔をして涙でぐしゃぐしゃだろう…。
あともう少しで自分の部屋なのに、あと一歩が届かない。




「カガリ…部屋に戻ろう」
「…うん」


カガリは先程まで噛付こうと言わんばかりな姿から一変してかなり落ち込んでいる。
それは仕方ない事だろう。
オーブが平和という『理想』を強く言っておきながら死なせてしまった人達がいる事を改めて認識してしまったから。


(今は彼女を心落ち着かせる為、部屋へ一端戻る事にした方が良いな。)


…しかし、彼のこちらを見る瞳は尋常では無い。
家族を失った原因が『アスハ』だとしても実際はカガリが起こした訳ではなく父親の代だ。それを解っていながらカガリに向ける憎悪。
なら元ザフトでありながらオーブに味方をする俺に対する態度も同じ顔をされてもおかしくない筈なのだが…。


(まだ彼には深い理由がありそうだな。)


部屋のベッドで彼女を横に寝かせ、彼女を落ち着かせると後はアスラン本人は泣き疲れてしまった彼女を部屋に残し、
戦艦の指令室へ向かおうとする最中だった。
見覚えのある紅の人物がうずくまっていた。





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