「アンタは…そんなに『キラ』が好きなのか?」
「…あぁ、愛してる。今すぐにでも会いたくて仕方が無い」


似てるから手を出してしまった…か。
こんなに愛されてるのに『キラ』は何故この人から姿を消してしまったのだろう…。
愛されながら抱かれるだなんて女にとってこの上無い喜びなんだろうな。
正直『キラ』が羨ましいよ…。


「し、シン!?どうしたんだ!」
「…え?」


気が付けば涙が溢れ出ていた。
自分は汚された。
愛されながら…初めてを迎えたかった。
愛されたい。


「…『キラ』の代わりでも構わない」
「な…?」
「今だけ…『キラ』になってあげるよ。だから…俺はアンタに抱かれても構わない」
「何を馬鹿な事を…!」


先程と違う、今シンは『女』の顔だ。


「アンタが『キラ』にしていたみたいに…そんな愛された抱かれ方を本当は求めてたのかもしれない…」


本当は強がっていた。
誰かに守られたかった。
誰かに愛されたかった。
本当は兄の『代わり』など無謀だったのかもしれない。
でも今は、
この人の愛しい『キラ』の『代わり』は出来る。
この人になら良いかもしれない。


「っ…ダメだ!そんな事してもお前がもっと傷付いてしまうだけだ!『代わり』など尚更…」
「お願い…、あんな忌々しい過去を忘れさせて欲しいんだ…」


ポロポロと宝石の様な涙を流しながらもまっすぐな瞳にアスランは『キラ』とはまた違う感情が込み上げてくる。


哀れさと愛しさを。


「…わかった。でも『キラ』の代わりなどしない」
「何で!?」
「『代わり』などお前の為にはならない、今だけは…シン、お前だけを想って抱く」


本当は酷な事を言わせてるのかもしれない。
本当に求めてるのは『キラ』だけのはずなのに…。
でも、でも…


すごく嬉しかった。


『キラ』今だけ…この人を貸して下さい。





今だけ…。




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