しばしその姿に硬直していたアスランは我に返り、頭を横に振ると一先ず壁際へ移動し壁に寄りかかる状態で
眠りこけるシンに肩を貸した。
肩に乗る頭はその安定感によって次第に深い眠りに就こうとしているのが判る。


(まさか…女だったとはな)


横目で見るその姿は完璧な全裸であり、流石のアスランも男として気になってしまう様だ。
女性に免疫の無い彼にとってシンの生まれたままの姿はとても刺激的な物であった。
白い肌に形の良いふっくらとした胸、そして綺麗に生えそろう産毛の下半身につい直視してしまう。


(や、やばい…理性が…)


男の象徴は既に天へ昇りつめていた。
男ならまだ幼さの残る可愛い少年という感じだったが女と判るとシンの姿はまぎれもない美少女だ。
普通の男ならそんな美少女の全裸に反応しない訳がない。
元々紳士的な彼は今自分の理性と戦っている。
シンは嫌いでは無い、自分に対して色々吠えるがその理由もわかりきっての事だ。
まるで子犬の様な彼に愛しさを感じていた、男である事がとても残念な事に。
しかしそんな彼は彼女であって、今当に男としては嬉しい状況には間違い無い。
この柔らかな肌を触ればどんな反応を返すだろう、などと当に妄想的に悶々としていた。
妄想の中のシンはとても淫らで官能的な表情をして啼いている。


「ん…」


現実の彼女の寝言により、そんな妄想も現実へ帰る。
この柔らかそうな唇を奪いたい、自分をその身体に埋め込んでめちゃくちゃに啼かせてやりたい。
既に限界であり、気がつけばシンを地に寝かしつけその上からアスランが覆い被っていた。


「すまない…シン!」






誰かが身体を撫でていた。
眠りの中からその感覚によって現実へと引き戻されていく。
誰かの荒々しい呼吸が耳元に響き、背中から感じる地面の冷たさからはっきりと覚醒される。


「ん…?な…に?」


こそばゆく感じる胸元からは誰かが猫の様に舌で愛撫をしている。
眠りからぼーとする頭から理解まで暫く時間がかかってしまったが、紛れもなくこのこそばゆさを起こす張本人が
自分の隊長である人物だと判ると一気に頭がクリアに戻った。


「あ…アンタ何してんだ!?や、嫌だ離せーーーーーーー!!!」
「すまないシン…もう我慢出来ない」


無理やり唇を塞ぐと舌を潜りこませ、相手の舌へ絡みつく。


「んんっ!んーんー!!」


引き締まった鍛えられた力では抵抗もほぼ無意味であり、ましては寝起きの身体は思っているより力が湧かないでいた。
強制的に塞がる唇から離れる唯一の抵抗…それは、


ガリ!


「…っ!」


その衝撃から離れる相手の顔は僅かに歪む。
そして唇の淵には赤い体液が付着しており、唯一の抵抗とはシンが相手の唇を噛み切ったのであった。
そんな抵抗を見せていてもいつもの強気が無いシンの身体はガタガタと奮え、相手から離れようと引きずりながら後退していく。
助けも呼べない状況、そして二人きりの空間。
こんな美味しいシチュエーションに妙な興奮を覚えるアスラン。
近づく彼にシンは身体を抱えながら必死に自分を守ろうと自我を無くしつつあるこの男に呼び掛けた。


「いつものアンタらしく無い!もっと冷静になれよ!」
「冷静だよ。お前の事がいつも気になっていたんだ…、それが恋心だと気付いたのは女と知った今…。お前が欲しい…駄目か?」


相手を求めるまっすぐな視線、この見つめる瞳から逃れたいのに目が離せない。
見つめられてるだけがこんなにも身体を熱くさせる。
胸の鼓動も次第と高鳴り、近づく彼の一歩にビクンと身体を震えてしまう。
まるで視姦とも言える様な感覚、シンの呼吸が荒くなるのが分かった。


「どうした?視られて興奮してきたのか?」
「ち、違っ!ヤダ来んな!」


近づくその顔はとても先程詫びていたと思えない程憎らしい黒い笑みを浮かべている様に見える。
どんなに抵抗しても、完全な拒否を感じさせない彼女に恐らく自分に対する好感に世程自信があるのだろう。


「お前と一つになりたい」
「あ…」


既に顔が目の前まで接近していた。
顔に手を添えられ再び口付けを求められ、ギュっと目を堅く閉じる。




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