C涙








「今日はシン、お前学校休め」


はあ?!二人の問題と俺が学校休む事とどんな関係があるって言うんだよ!


「アスラン!シンは関係無い!!僕等の問題だろう!?」


キラの言う通りだ。


「そうじゃ無くともお前は偉くシンに甘い、そして俺とは衝突ばかりだ。ここはちゃんと話し合う必要があると思ってね」
「そんなのアスランの勝手じゃないか!」


話し合うもなにも俺は普通に生活してるつもりだしキラも俺に甘い訳では無くておそらくアスランと俺とでちゃんと
分け合って接してるのだと思う。
アスランに対しての扱いは恋人だが俺に対しては家族へ対しての甘えだとよく分かる。


「そういうのは別に夜でも良いんじゃないの?俺は下らない話し合いに学校は休みたく無いし」
「そうそう、そういう態度が気に入らない」


気に入らないも何もアンタの性格受け継いだだけですけど…


するとアスランは持っていた家電の子機の検索ボタンを押す。
遠くからでも聞こえる通話呼び出し音。
まさか…


「あ、ミネルバ学園でしょうか?1年B組に通うザラの保護者ですがいつもお世話になっております」
「ちょ、ちょっと!!」


嫌な予感は当たる。
阻止しようと子機を奪おうとするもののそれは簡単にかわされてしまい、俺はその場足を引っ掛けられ床へ倒れこむ。


「あ、はい。そうです…急に体調を崩しまして…。えぇ、はいお願いします。では失礼致します」


ピッ…と停止ボタンを押されそのまま会話は終わってしまった。


「休み決定だ、シン」
「アンタ卑怯だぞ!!第一アスランがそんな態度とるから反抗したくなるんだろ!?」


本気でアスランにムカついた。
それはキラも思ったらしく一緒に反論しあう。


「アスラン!いくらそれは横暴だよ!シンはいつも僕等を思って家事とか一生懸命頑張ってくれてたの忘れたの?!」
「家事を頑張るとかの問題じゃない、俺達3人の関係に対しての問題だ」


一度決めたらガンとして止めようとしない。
学校は諦めるべきなのだろうか…皆勤狙ってたのに。


「もういいよキラ…アスランはどうせ話し合わないと気が済まないんだから」


大げさに溜息をするのはあくまでもアスランに対してのわかりやすい嫌味。
もちろん些細な行動がアスランの逆鱗に触れるのが分かっての事。


「お前のそういう冷めた生意気な態度が気に食わない!何故俺には反論する!!」


だからアンタのそういう態度がムカつくからって言ってるんだろ!?
もう話す事が億劫になってきた。


そんなお互いの怒りがピークに達したのかアスランは今まで禁句としていた言葉を怒りに任せてとうとう出してしまう。


「こんな可愛げの無い奴だと分かってたらもう少し環境基本情報を替えておけば良かった」


言葉の裏を変えるとつまり今の自分など生むのでは無かったと言っている様なもの。
流石にこの言葉はいくら冷静だと思う自分でも傷付いてしまう。


「アスラン!!自分が何を言ってるのか分かってるの!?」


禁句である言葉。
キラも流石にそれは絶対言わないであろうと思ったアスランに対して驚きを隠せない。


今までの些細な事ならどうせ性格上合いあわないのだろうと多少は理解してるつもりだったがこうもはっきり言われると本気で
自分が要らない存在なのだと感情が隠せなくなる。
自分はいくらアスランに似た性格であってもまるっきり一緒ではない、キラの性格だって多少なりとも加わっているのだから
傷付く言葉は正直辛い。
そして今の生活によって『シン』という人格が出来上がっているのだからそれを今全て否定されてしまった。


我慢はしていた。
今の生活が嫌では無かった。
喧嘩したって家族だからこそだと思って許せる事だった。
なのになのに…


抑えきれない感情にシンの瞳からは大粒の涙が溢れ出す。


「シン…っ」


あの気丈高いシンが泣いている。
声を抑え、ポロポロ流れ出る涙を手で押さえるが溢れ出る量には追いつかず涙はそのままカーペットへ染み込んでいく。
アスランはシンの涙する姿に自分の言った言葉がどんな酷い事なのか後悔した。
そしてシンがその言葉に対して本心では不安だった事を理解する。
自分とキラ二人の間から生まれた遺伝子。
どんなにしっかりした態度でも内に秘められた本心がある事くらい知っていなければいけない筈だった。


「やっぱり…アスランはそう思ってたんだ?そうだよな、アンタにとって俺はキラへの邪魔者としか思って無かったんだもんな?
俺なんて、本当は生まれてこない方が良かったのかもしれない…」
「そんな事無い!シンは僕達にとって大事な子供であり弟なんだよ?生まれてこなければ良かっただなんて思い違いだよ!!!」


キラはきっとそう思ってくれてたのはよく分かる。
でも俺の存在は二人に認めてもらえなければ意味など無い。


そんなシンの涙で我に戻るアスランは自分の言った言葉を訂正しなおす様にシンを強く抱きしめる。


「シンすまない!本当はわかっていた筈なんだ、お前が本気で憎らしいなど本当は思ってなんかいない!
俺が…キラに対して思う様にいかなかったから、ついお前に辛くあたってしまったんだ…俺だってシンが要らないなど
本気で思っちゃいない、信じてくれ!」


こうして抱きしめられたのは初めての事かもしれない。
今なら二人で言い合えるかもしれない。


シンはアスランの胸元へ子供の様にグズグズと泣き腫らした。


「キラ…、俺アスランと話をしたいから…二人にしてもらっても良いかな…?」
「…うん、分かった」





PCのみ学園名をミネルバ学園変えました。SEED学園ってなんか安っぽく聞こえますよね…(苦笑)

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